【指導体験記】私が生徒を慶応普通部に合格させた方法

田中先生の体験記 ここでは2007年度入試で担当した生徒を慶応義塾普通部、浅野中学校などの合格へ導いた、田中壮太先生の体験記をお読みいただきます。よく考えると共感していただけるかとは思いますが、これまで皆さまがお読みになった体験記と比べると、実はあるようでなかった“教師の指導体験談”です。教える、導くという立場ですから、皆さまもいろいろな深い“気づき”を得られると思います。

 ちなみに、この田中先生自身は麻布中学・高校を卒業し、現在は一橋大学経済学部に通っています。先生自らの中学受験経験から染み出たノウハウは、私たちにとっても参考になるものだと感じています。

 それでは早速お読みください。なお本文の中に出てくる「裕一君」という名前は、田中先生が担当した生徒のお名前を仮名に書き換えさせていただいたものです。

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 裕一君については6年生の6月から本番直前まで見させていただきました。第一印象として、こちらの指示に対してとても真面目に取り組み、さらに努力を惜しまない子だと感じていましたが、その通り最後までとてもよくがんばってくれたと感心しています。

 指導開始当初から、裕一君は比較的時間の使い方に対する意識ができているように感じていました。これはスタディリフォームから事前に聞かされていたことではありますが、私が家庭教師としてお伺いする前も保護者の方が率先して塾の復習などの家庭学習をサポートされていたからだったようです。さらにスタディリフォームからは担当教師としてまず苦手教科であった国語、特に長文読解のレベルアップをはかること、その次に志望校を意識して実際の試験問題への対応力をつけることを念頭に置くように指示されました。具体的な指導方法は打ち合わせの中でプランを立て、指導開始後も軌道修正を加えていきました。

 はじめに国語について、裕一君は漢字や熟語などの基礎知識に不足は感じませんでしたし、文書を読むスピードも、簡単な読み取りもそれほど難なくこなせているように感じたのです。とはいえ、実際に模試や過去問といったレベルの問題を解かせてみるととたんに点数が伸び悩んでしまうのです。こうした状況の中、何回か指導をしているうちに「文章を思うがままに読み、問題文には思いつきで解答しているだけ」という問題点が浮き上がってきました。

そこで、まず文章の内容を確実に押さえ、さらにその上で論理的に解答を見つけ出す方法をマスターさせることにしました。例えば、物語文では場面展開や感情の移り変わりをきちんと追えるように、説明文では「序論→本論→結論」という展開を掴めるようにするというようなことです。実際には時間制限なしで問題をじっくり解かせてみたこともありましたし、解説するときに必ず意味段落を把握させるようにするなどの指導を行っていきました。結果としてこれらは文章の要旨や主人公の気持ちを問うような発展的な問題へ対処できる訓練になったと思います。

 続いて、実際の試験問題への対応力対策について。ここで特に問題となったのは裕一くんがこれまでの家庭学習の中でノートのとり方などをそれほど意識していなかったことで、算数などの問題を解くときにそのプロセスをほとんど頭の中で処理してしまい、途中経過をきちんと書き出さなかったことでした。最近は(裕一くんの狙っていた中学校も含め)途中経過を書かせるタイプの入試問題がよく見られますし、またきちんと書かないことは計算ミスにもつながります。そこで、少し時間がかかっても良いので問題を解くときに計算式や図を書くという訓練を行いました。特に図については、教科書に載っているものを見て理解するのは簡単でも、普段からきっちりと練習をしておかないと、いざ実際に自分で書くのはなかなか難しいものであり、これは論理を積み重ねなければ解けないようなより発展的な問題への準備にもなったのではないかと思います。

 最後に、受験勉強は辛く苦しいものだと思われがちですが、こと私と裕一君に関しては明るく楽しくできたことも追記しておきます。裕一くんの場合は、例えば小学校の運動会で応援団をするなど学校行事にも積極的に関わっていましたし、たまに時間をつくって日帰り旅行に行くなど、うまく学業以外の活動ともバランスが取れていました。家庭教師の私にも、小学校のクラブ活動でやっている手品を見せてくれたり、得意のパソコンの話をしてくれたりしました。日々の成績で一喜一憂することはもちろんあるとは思うのですが、受験勉強以外の活動もうまくからめることで、少し心に余裕を持って望むことが受験の成功につながっていく一面もあるように思いました。

このコンテンツの公開日時 : 2007年05月04日 15:30

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